家族と私と本と。

日常のつれづれと読書の記録

イケメンは作れる

『ひとりでは生きられないのも芸のうち』
内田樹 文春文庫

内容を一言で乱暴にまとめると、『結婚した方が1人でいるより精神的にも経済的にもラクだから若者よ結婚しなよ』。
冒頭から、「男を落としたいなら才能と外見を褒めたあと、かなぴょんのポーズで決めろ」と述べてあり、初めて読んだ時20代前半だった私はなるほどと感心し、出会う人全てに片端から試しました。
ともかく男性たちの話を褒め、外見を褒める。
かなぴょんのポーズは具体的な説明がなかったのでよくわからなかったけれど、胸とウエストでも強調すればよいのかと考え、必ずどちらかにポイントがある服を着ていました。
効果てきめんで、一気にモテ期が来て驚いたのを覚えています。
その中で出会ったのが夫。
当時は表情が卑屈っぽいせいで不細工に見えるし、自信なさそうなのにプライドは高い、なかなか複雑な人でした。

余談ですが、男性は生活の充実度や性格や生きざまが本当に顕著に顔や肌艶に現れます。
女性はメイクするし演技するし、ごまかしかたが上手なので、わかりにくいことも多いんですが。

仕事で男性と話す機会が多く、それをよく知っていたので、お付き合いが始まるとまず夫を褒めて褒めて褒めまくりました。
気配りの細やかさを褒めたし、箸使いも褒めたし、車の運転も褒めたしベッドの中のことも褒めました。
頭の良さや知識の豊富さやお茶の淹れかたの上手さも。
本人が密かに頑張ったところや、「オレってこういうとこイケてるんじゃない?」と思っているところを褒める。

いちばん効き目があったのは、やはり外見を褒めちぎったことだったと思います。
目が素敵、手がきれい、唇のかたちが整っている、顎のラインがいい、歩き方が好き、肩ががっしりしているなど、とにかく朝に夕にカッコいいと言い続けた結果、表情に自信がみなぎり、態度に余裕が現れて、とうとう本当に男前になりました。
雰囲気イケメンというのかもしれませんが、写真を比べると差が歴然とするほどです。
これはのろけではなく、見つけようと思えば人の長所なんていくらでも見つかります。
逆に、パートナーを下げる言葉を言うとますます事態は悪くなると思います。
これからもこの努力を怠らず、彼に自信を持ってもらえれば、男前時間は人生の中で長く続くと信じたい。
何が言いたいのかわからなくなってきましたが、要は才能と容姿を褒めれば、俳優レベルは難しくても自分好みのイケメンを育てるのは可能なので、思いやりがあって勤労意欲のある男性をまずは探すことが重要だということです。
この理論、女性にも通用すると思うんだけど、うちの夫は妻を美女に育てようという気は全くないようです。