家族と私と本と。

日常のつれづれと読書の記録

香りと音楽の記憶

去年「香水」という曲が流行り、ドルチェアンドガッバーナの香水がよく売れたとか。
そういえば昔恋をしていた人はヴェルサーチの香水をつけていて、かぐわしいその香りを漂わせながら前を歩かれると、ついふらふらと(行き先がどこであろうと)ついていきそうになるほどのセクシーさでした。
当時私はまだあまりにも小娘で恋愛に持ち込む勇気もなく、その人とは疎遠になってしまいました。
今は連絡先もわからないし顔すら曖昧だけれど、その香りを街中などでふいに嗅ぐとき、急に10代の頃が蘇ります。

こういう香りの記憶と同じように、昔のことが鮮明に思い出されるのが音楽。
先日車を運転しているときに聴いた山下達郎「FOREVER MINE」とノラ・ジョーンズの「Sleepless Night」には肩を掴まれる勢いで10年前に引きずり戻されました。
この2曲は江國香織の小説「東京タワー」を映画化したときの主題歌と挿入歌です。(映画自体は陳腐な不倫物語にまとめられていてものすごく不満。キャストもミスマッチ。)
ある男性(ヴェルサーチとは別人)に片思いしていたころによく聴いていました。
メールが来るたびに素手で心をわしづかみにされるようなキュンキュンを味わい、会うたびにまっすぐ顔も見れないような純情さでした。
今思えば胸をしぼられるような切なさは、若くて独身で、自信も基盤もなく、先の読めない不安定な関係に味つけされていたからこその恋心だったんだと思います。

一方で夫に対しての愛は、恋愛初期の電気が走るようなピリピリドキドキが徐々に少なくなり、代わりにお昼前の陽射しのような、穏やかで温かな感情に変わりました。
例えば不倫をすると、背徳感によるドキドキを味わえて毎日が刺戟的なんだろうけど、夫と一緒の空間にある居心地の良さは何物にも替えがたいものです。
こういう関係をリスクにさらしてまで、ドキドキしたい気持ちって全然理解できない。
たぶん夫も同じように考えていると思います。
それとも、この居心地の良さも何年も経つと消えるのでしょうか。。

そういえば、夫は香水をつけませんが首筋は何とも言えず安心できるいい匂い。
ついつい抱きついてくんくんしたくなるけれど、その度身体中まさぐられるので落ち着いてハグもできません。。