家族と私と本と。

日常のつれづれと読書の記録

『エンディングドレス』 蛭田亜紗子 ※図書館

 

雑誌で紹介されていた本です。
最愛の夫に先立たれ、生きる気力をなくしていた主人公麻緒(あさお)が、自殺用ロープ購入のため立ち寄った手芸店で見つけた貼り紙『死に装束のための洋裁教室』。
ミステリアスな講師、クラスメイトのおばあちゃん3人、その他周りの人々に囲まれ、洋裁を通して徐々に立ち直っていく様子が描かれています。
個人的に洋服が好きなので、最後まで楽しく読みました。
誰しもいつかは別れが来るから、毎日を大切にしないといけないなあと読んでる途中に思いました。普通のことだけど、日々過ごしていると惰性に流れがちなので。
この作品でちょっと不満だったことがいくつか。
余命がわかっている夫の子どもを授かっているのに、中絶してしまった主人公。
確かに、きれいごとで子どもは育てられないから、気持ちはわからなくもないけど、それなら中絶に至るまでの葛藤をもっと描いてほしい。何だか軽すぎる扱いだった。
それと、講師の娘さんがトルコのテロに巻き込まれて亡くなる設定が非日常すぎて感情移入できない。
ラストの締めくくりが雑な気がする。

文体は気に入ったので、他の作品も読んでみようと思います。