家族と私と本と。

日常のつれづれと読書の記録

秘せずは花なるべからず

秘すれば花なり 秘せずは花なるべからず」世阿弥風姿花伝」より

この有名な一節を知ったのは、高校生のとき、日本史の授業でした。
秘めるからこそ花になる、 秘めねば花の価値は失せてしまうという意味です。

何もかもさらけ出さず、見せない部分を作る大切さ。
これが男女関係において、とても大事だと思ってきました。
永久には無理かもしれないけれど、飽きず飽きられず、いつもどこかに新鮮さを感じられる関係を長続きさせたい。
それで心がけていることがいくつかあります。

その1、着替えを見せない。
女性のインナーウェアは古今東西、締め上げたり詰め込んだり、男性が見てもろくなことはありません。見たいなら脱ぐときだけで充分。

その2、夫と毎日のお風呂に一緒に入らない。洗っている姿は絶対に見せない。
洗いあいっことかもしません。理由はシンプル、恥ずかしいから。洗っているところなんてみっともないから。

その3、化粧しているところを見せない。お風呂上がりのお肌のメンテナンス、シップ薬等を貼るところも同様。
慎みもないし、変身していく様子はサナギの孵化同様美しくはないため。

その4、終わったあとの処置は手元をタオルや毛布で隠して絶対に自分でする。
何度となく拭いてあげるという申し出がありましたが、冗談じゃないです。

その5、相手を待たせてでも、肌着はそれ用に取り替えること。切羽つまっているときは、せめて相手に触らせない。
マンネリ化しないための演出の一つでもあるし、汗のついた肌着を触られたくない女心でもあります。


本当は寝顔も寝相も見られたくないので寝室は別にしたいし、洗濯物も別に干したいし、クローゼットも別にしたいけれど、現実との折り合いも大切なのでそこは妥協しています。
子どもの授乳も見られるのが嫌で、出来る限り席を外してもらっていました。
夫も半裸でいたり、下着1枚になるのをやめてほしいけれど、彼は全裸でいたいのを我慢しているので、寒いとき以外服は着れないと言い張ります。
おかげで夫の裸をみても全くドキドキしなくなってしまいました。
じゃあ何にドキドキするかって、あとは指先だけかも。。

余談ですが、手元と言葉から恋に落ちたことがあります。相手は適度に骨ばった、すらりとしたなめらかな手の持ち主で、爪はいつでも短く切り揃えてありました。指の長い、セクシーな甲で忘れられないほどです。穏やかな口調、深い教養と知性、育ちの良さがわかる言葉遣いで、何年も彼に夢中でした。
背が高いとかイケメンとかわかりやすい魅力がある人ではないので、女性面で苦労してなければいいけどと、久しぶりに思い出してよけいな心配をしてしまいました。

何はともあれ、秘すれば花の努力はお互いに必要だと思います。